愛知県名古屋市で、各種切削工具の再生からユーザーニーズに合わせたオーダー工具を製造する株式会社オー・ケー・シーの代表取締役 大河内氏にお話を伺いました。新しい分野にも挑戦し続ける同社。既存の事業と新規分野の内容について語っていただきました。
【企業情報】
会社名 | 株式会社オー・ケー・シー |
所在地 | 名古屋市中川区細米町2-72 |
代表取締役 | 大河内 昌彦 |
設立 | 1996年8月 |
事業内容 | 切削工具の設計製造 切削工具の再生/再研磨 市販切削工具の改造 特殊切削工具の設計製造 医療用切削工具の設計製造 各種表面処理 |
経営理念 | 信用と満足をカタチに |
印刷会社の営業マンとして就職。29歳頃には起業しようと漠然と考えていたが、業界は絞っていなかった。
そんな矢先、金属加工は全くの未経験だったが、父親からの誘いもあり1996年8月に起業。
最初は貸倉庫の工場で、刃物工具の研磨加工からスタート。徐々に事業を拡大し現在に至る。
事業について
−御社の事業内容を教えてください。
自動車・航空機・IT・医療機器産業向け切削工具の製造・改造・再研磨を行っています。
−比率としてはどのような部品が多いのでしょうか。
自動車関係が6割で、あとは1割ずつくらいです。
–経営理念「信用と満足をカタチに」に込められた想いをお聞かせください。
我々の仕事はちょっと特殊というか、要は修理屋さんなんです。
修理したものって基本的に良くなっていることが基本じゃないですか。
なので、やったものに対して褒められることってないんですよ。直っているのが当たり前の世界というか。
通常通り削れるようになるのが、お客様の中での満足になるんですね。
そういうのは言葉でフィードバックされることはあまりないんですが、リピート品で品物が戻ってくるんですよ。
信用は目に見える”形”ではないけれども、お客様の信頼や満足がリピート品として「カタチ」になる、ということですね。
お客様に満足していただける品質を提供していきたいです。
–確かに、「信用」や「満足」って形としては見えないですが、リピート品として返ってきているのが、
ある意味「信用のカタチ」になっているということなんですね。
そうですね。お客様が「ここに出せば間違いないものを提供してくれる」っていう信用を積み重ねていき、
それがお客様の満足に繋がるようにという想いを込めて経営理念に反映しました。
–現在の課題があれば教えていただけますか。
自動車・航空機・IT・医療機器産業の新規開拓です。
弊社は名古屋にあるんですが、どちらかというと身近な地区の企業様が取引先になることが多いんです。愛知県、岐阜県、三重県ですね。その中でも圧倒的に愛知県が多いんですが、視野を広げるために今後は他県にも展開していきたいです。
また、医療関係は我々が取り組み始めているところなんですが、今の時点ではまだ情報が少ないので、展示会に出展したりして情報を集めながら開拓していくのが課題ですね。
–医療業界にチャレンジしようと思ったきっかけや理由はあるんでしょうか?
愛知県は自動車産業で、車関係の企業が非常に多いんです。
航空機も大手メーカーがあったりして、比較的盛んなんですよ。
一方、医療関係は色んな認可があってハードルが高いんです。
参入したくてもどういう手順を踏んだら良いのか、情報が入ってこないからわからないということが結構あったり。
知り合いにデンタル関係者がいて話をしていたという経緯もあり、うちは医療の方に行くことにしました。
技術について
–御社の得意分野や強みを教えて下さい。
切削工具については、長年の実績とノウハウがあるため、特殊形状の設計・製造が可能という点です。
–特殊形状とはどういうものでしょうか。
通常ですと、刃物のラインっていうのは直線になっているんですが、一つの刃物の直線の中にRが入ったり、
角度が入ったり組み合わせのものがあったりするんです。
ユーザー様の加工図面をもとに刃物を設計して作っていくんですが、弊社は今までの実績もあるので、
どういう形状にすると切れが良いとか、刃持ちが良いとか、より良い方法を提案することが出来ますのでその点が強みだと思います。
–他社との差別化のポイントを教えて下さい。
医療機器の業認可により、設計から製造販売まで一貫生産できる点です。
業認可のない企業は、設計を外注して販売のみ行う場合があると思うんですが、
弊社は業認可を持っているので、設計から生産、販売まで全てやれるところが強みです。
社長の人物像について
–大河内氏は、子供の頃はどんな性格だったんでしょうか。
運動が好きで、よく体を動かしていました。野球、サッカー、水泳など色々なスポーツをやっていました。
順位が出る競技はどうしても上位に入りたくて、負けず嫌いでした。
–今でも好きなスポーツはありますか。
今は、ゴルフをやったり、バレーボールをちょっとやったりですね。
–趣味について教えて下さい。
レース観戦、車関係ですね。昔は私もちょっとやっていたんですが、今は観戦ですね。
知り合いがやっているので、その応援に行ったりとか。弊社の看板を背負ってくれていたこともありました。
–レースの趣味が仕事につながった経験とかあったりするんでしょうか。
レースの予選で上位に入るために、どんなふうに車をステップアップしたらいいのかとか試行錯誤するんですけど、
車の整備を完璧にして、自分に対しての逃げ道を無くすんです。
言い訳ができないようなセットアップをしていかないと、
駄目だった時に「これが理由で駄目だったのか」という逃げができてしまうんです。
そういった経験から「逃げ」を無くした仕事が、今の自分にプラスになっていると思います。
–今までの仕事で特に苦労したことや、失敗した経験などあればお聞かせください。
苦労したことといえば、元々はサラリーマンで、全然今と関係がない業種から始めているので、
わからないことだらけだったということでしょうか。ただ、プライドがゼロだったので、とにかく何でも聞きました。
周りも私が全く知識がないことをわかっていたので、気楽に教えてくれる環境だったんです。
ひとつずつ色々教えていただきながら吸収していって今の自分があります。
今でも、何社かやり取りしている国内の大手工具メーカーさんの技術者から教えてもらうことがありますよ。
失敗したことといえば、段々業績が上がってきて順調になってきた頃に、天狗になりかけていた時期があって、
謙虚な気持ちがあまり無い感じでした。ある時、知り合いと話していて私が反論したら見事にへし折られたんです。
その時に、このままでは駄目だな…と自分の考えを改めて、謙虚であるべきと思いましたね。
–最後に、PRをお願いします。
医療産業の新規開拓を行っていますが、始める当初って何も情報がないんですよ。
業認可を取るために何をやるべきか調べるのも大変で、ハードルが高いんです。
ただ、そこに時間をかけるかかけないかって重要だと思うんです。
何でも最初は大変に決まってますから。
難しくても挑戦を繰り返して成長していく、身についた情報は蓄積されるわけで。
やった人にしかわからない。なんでもチャレンジしていく気持ちを大事にしています。