今回は、愛知県にある有限会社伊藤製罐工業の伊藤氏にお話を伺いました。
【企業情報】
会社名 | 有限会社 伊藤製罐工業 |
所在地 | 愛知県津島市深坪町2-89 |
代表取締役 | 伊藤 太一 |
設立 | 1946年 |
事業内容 | 溶接、組み立て、レーザー加工、プレス |
経営理念 | 他者への敬意を忘れない。貰い手の気持ちになる。 |
これまでに、トランス本体、トランス蓋、リニア新幹線用運搬架台、ウォータージャケット、はしご、階段、自転車置き場、プロレスのリング、プロレス入場ゲート、鉄くず入れ、バーベキューコンロ、ロケットストーブ、漢字のオブジェ、ステンレス製オリジナルキーホルダー、釣りの締め具を製作
事業について
−事業内容を教えてください。
大手メーカーのトランス(変圧器)の外箱や蓋、部品の製造を主にしていまして、その他別注で鉄製品の設計、組立もしております。
最近ではプロレスリングの製造、補修、釣り具の制作なども手掛けており、貸しテナント事業も始めました。
−トランスは、冷却方式の種類がいくつかあるようですが、種類によって検査方法などが異なるのでしょうか。
大体が乾式(空気やガスで冷却する方法)です。
弊社では外身の箱部分だけを作っているんですが、中身が何になってもあまり関係はないです。
検査については、カラーチェックで浸透検査を行っています。
また、密封状態にして漏れがないかのチェックは取引先(大手メーカー)にて行っています。
−密封状態にして漏れのチェックを行うということは、寸法の精度が結構厳しいのでしょうか。
厳しいですね。上記の写真くらいの大きさであれば3ミリくらいが許容範囲です。
溶接をすると多少動くので、例えば、長さが1500ミリだったら、縮むのを想定してあらかじめ1502ミリで作ったりします。
厚さによっても変わってきますし、これは長年の勘ですね。
−職人の技ですね。また、プロレス好きとお聞きしましたが、リングを製造するに至ったのは、どういうきっかけからなんでしょうか。
はい。好きだからこそ、当初は仕事にするつもりがなかったんですけどね。
溶接が甘くて崩れたりすると、命に関わる可能性もある物ですから責任重大ですしね。きっかけは、知り合いからどうしても作ってくれないかと頼まれたことでした。
絶対に事故が起きてしまうようなことがあってはいけないので、「うちは溶接の頑丈さも見た目も、絶対どこにも負けないようなやつで作ったれ!」という気持ちでやっています。
実際、これまで色んなリングを見てきましたが、丈夫さには自信があります。
−それは、選手も安心して使えますね。
大きいプロレス団体であれば、専門のスタッフがリングを組み立てるんですが、少し小さい団体になると、選手が自ら行うことがあるんです。
その時に「こんなリング見たことない」と、お褒めの言葉をいただくこともありました。
そこからどんどん話が広まっていって、この2ヶ月で5件くらい問い合わせがありました。
ニッチな世界ですが、需要があるのであれば今後も引き受けていきたいと思っています。
技術について
−得意な技術について教えて下さい。
溶接のJIS取得者が多くいて、それより厳しいとされる大手メーカー技量認定は通常作業者全員が合格してるので、溶接には自信があります。
またレーザー加工機、プレス加工機を保有しており、作業者も20年以上のベテランなので、性能範囲内での自在な加工に自社で対応出来ます。溶接したあとがわからないくらい綺麗な表面仕上げが出来ます。
−その得意な技術が生まれた背景を教えていただけますか。
大手メーカー1次下請けの立場から求められる品質が抜群に厳しく、その環境で育ってるため高い意識が当たり前になり、技量の向上につながっています。
またJIS取得者に1資格毎に技量手当の支給をするようにしてから社員の意欲が高まり、自主的に資格取得を頑張ってくれるようになりました。
−その技術はどのような業界で使っているか教えてください。
トランス製造で役になってます。トランスは中に油が入るため、漏れや錆びに非常に厳しいものであるため精密な溶接のスキルが必要となるので。
−その技術を使って、今後他の業界にも進出したい等あれば、教えてください。
その他のトランスメーカー品、設備関係などに興味があります。
また地域から目をかけてもらえる企業になって、地元に貢献できるようなものも作りたいと思っています。
−他社との差別化ポイントを教えてください。
・溶接の外観にもしっかりこだわる
・何かあったらいち早く臨機応変に対応する
・正社員のみにこだわって人材を育てる
・若手を積極的に採用して技量の継承をしている という4点が強みだと思っています。
−品質管理で気を付けている点があれば教えてください。
大手メーカー1次下請けの立場上、不良案件が出ると対策書、改善報告書などの提出が求められるので、案件が出てしまった場合それの掲示と運用、また現物で限度見本などを作り、許容範囲の確認など視覚的に行っています。
あとは、図面にダブルチェックをするための判子を押しています。
作業員と確認者がそれぞれ判子を押すようにして、確実にダブルチェックを行うようにルール化しています。
今後について
−現在の課題と将来の展望について教えてください。
トランス製造に事業が傾きすぎていることが課題です。もう少し手広くいきたいと思っています。
また、今後は自社製品を開発したいと思っています。また、SNSを活用して自社の名前を広めたいです。
−最後に、PRをお願いします。
弊社は愛知県津島市で70年間鉄工所を営んでいて、おかげさまで大手メーカーの信頼を得て大きな仕事も任されており、そこで培った厳しい環境から得た経験と技量には絶対的な自信があります。
社長の性格上、無理そうな課題でも積極的に話を聞き、できる限り求めるものが出来るようにする柔軟性もありますので、何か出来ないかお悩みの方は気軽にお声がけ下さい。